もちろん恋愛観は人それぞれです。が、おそらく、人が人を好きになるのは、雰囲気だったり、話し方だったり、です。勝負を決するのは、タイミングだったり、勢いだったり。そういうものですよね? 好きになるのに理由はなかったり、最悪のデートで「ほんと泣きそう…」と思っていたら、相手はそうでもなかったり。うまく行くものはうまく行くし、うまく行かないものはどうやってもうまく行かない。痛い目にあうけどすぐたちなおったり、ほかに好きな人がすぐできたり、で、また痛い目にあったり。予定通りには行かなくて、無駄も多くて。で、なんとか付き合ったけど、すぐだめになったり。普通、そういうものですよね?(「違う。そうじゃない。私のしてきた恋愛は、すべて計算通りだし、狙った男(女)はすべて、詳細な分析と明快な目的意識と、何度も繰り返した綿密なデートテクで落としてきた」というあなた。素晴らしいです。うらやましい。でも、そんなあなたにはこの本は必要ないかもしれません、残念ですが。これまで思い通り運んできた人生の集大成として、意中の内定を山ほどゲットしてください。いいなぁ。)もし、就職が恋愛と似ているなら、どうして、「それはそれとして」と横へ置いておいて、小難しい話やテクニックにシフトするのか。そこに、すごく違和感を感じます。
この本は、就活を考える時の単なる前振り・気休めとしてではなく、「就職」あるいは「就職活動」を「恋愛」との類似という観点から、真正面から語ってみようという本です。
「就職と恋愛が似ている」という考え方。賛否あるかと思いますが、私は強く賛同します。心から、「そうだ!そうだ!」と思います。就職と恋愛。「人(企業)が人(あなた)を選び、人(あなた)が人(企業)を選ぶ」「人(彼女・彼)が人(オレ・わたし)を選び、人(オレ・わたし)が人(彼女・彼)を選ぶ」という点で、本質的には、まったく同じことだと強く信じています。
もちろん、実際には細かな違いもあるでしょう。社会人としての常識、会社の方針、企業理念……。でも、これからしんどい(正直、毎日スーツを着て、混雑した電車にもまれ、難しいことを考えるのは、デートよりも気が重いものです)就活を行っていく上で、まったく未知の事柄として「就職ってなんだ?職業ってなんだ?」と考えるのは、どうにもしんどすぎます。それよりも、これまでの自分の恋愛のやリ方・考え方を利用して、その延長で考え始めるほうが、どうにもこうにも楽チンですし、考えやすいですし、納得しやすそうです。そういう実用性からも、「就職=恋愛」理論は、有効だと思うのです。よくわかんない就職、こんがらがってきた就活。まずは、ずっとこれまで関わってきた「恋愛」、これを武器に戦う。悪くない戦法だと思います。
!