ふたつの肩書きを名乗る。

朝日新聞の「はたらく気持ち」というコラムが、

とても面白いのですが、

著者の田中和彦さんのプロフィールには、

「人材コンサルタント、映画プロデューサー」

とあります。

なにか一つのことに打ち込んでる・取り組んでると、

世間からは、納得してもらえますし、すんなりと受け入れられます。

職業はその最たるもので、

「お仕事は?」

と問われ、

「医療事務をしています」

「メーカーで営業をしています」

「◎◎で働いてます」

と答えると、

尋ねた方は、その中身を知ろうともせず、とりあえず安心します。

ところがそこで、

「仕事は医療事務です。●●大学の大学院生でもあります」

「メーカーで営業をしてます。あとは、友人のNPOを手伝ってて最近理事長になっちゃいました」

「◎◎で働いてます。名刺は、親と始めたカフェのほうの名刺なんですけど」


と言うと、とたんに相手は落ち着かなくなります。

ひとは、「一対一対応」が好きなのです。

ですが、このように、

肩書き=自分の姿を、

いくつも持つことは、これからの時代、

必要になってくる大切な知恵です。

人生の目的をなにかひとつに決めて、

それを名乗る、それにかけるのは、

確かにかっこいいし、人聞こえもいいでしょう。

ですが、このご時世、

いくつもの「自分」「目的」「夢」「関心のあること」に

リスク分散をするのも賢い選択。

◎◎であり、●●である自分。

そう思うことで、気持ちのバランスがとれることもあります。

それは厳密に仕事(お金を取れている)である必要はありません。

子育てをしながら、学生をする。

趣味に打ち込みながら、女子会の幹事をする。

仕事と家以外の第3の場を作ることは、とても大切なこと。

出会いも広がり、気持ちにも余裕が出ます。

やりたいことが見つからない。

仕事にしたいほど打ち込めるものが見つからない。

そんな時には、迷わずなんでもかんでも手を出して、

手を出すだけでなく、「名乗ってしまう」のもひとつの手。

いろいろな名刺を持っている人

いろいろな肩書きを持っている著名人・・・

これからの時代、ポジティブな浮気性こそが、

時代のキーワードかもしれません。

自己紹介された相手が当惑したり、

「で、結局、なにを?」とイライラしたりしても、

構わず「いろいろやってるんです!」と返せる、

そんなしなやかな強さを身につけたいものです。
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