昨日も、担当している学生と渋谷の喫茶店で待ち合わせ、相談を重ねながら、テレビ東京へのエントリーシートを仕上げました。
この方は、何回かのレッスンを通して、だいぶ自分の姿を生身の言葉で語れるようになってきたのですが、いざそれをESに落とし込むとなると、ふたたび、耳障りのいい、だけれどなんにも残らない、企業目線の言葉が多くなってしまいます。
これらの言葉のことを、私は、”オトナ語”と言っています。要は、「リーダシップを余すところなく発揮」だの、「柔軟な判断力」だの、「マーケティングソリューション」だの「クライアントニーズ」だの「ブランド価値向上」だの「企業ビジョン」だの、そういう普段の学生生活では絶対に使ってこなかった言葉たちのことです。
※ちなみに、「オトナ語の謎」とはニュアンスは違いますが、言葉自体の意味がそこからなくなり、笑えるほどに記号化してしまっているという点では、同じとも言えます。
これらの、ビジネス誌や企業HPで飛び交いがちな「彼らの言葉」を使うことを極力避け、自分の経験と生活と体から発せられた「僕らの言葉」で語ることを、私は学生たちに強く推奨しています。
なぜなら、面接の目的は、企業側にすり寄った物言いをすることではなく、自分の姿を自分の言葉で素直に伝えることだと信じているからです。
ですが、私との会話の中でどれだけいきいきとしたエピソードが語られ、どれだけ生々しい熱意が表現されたとしても、それを紙に書きしるし、さらに推敲(これが魔物ですね)を重ねるうちに、最初にあった熱は次第に冷め、気づけば、一般的な耳障りのいい言葉に終始した、「つるっと読めるけれども、後になにも残らない」文章になってしまいがちです。
※それは、仕事を通じて、「言葉」と長年向き合ってきた私でさえそうです。書くって、ほんと難しいですね。
完璧を期すあまり推敲を繰り返し、最後にはまるで他人が書いたような文章になってしまう。そんな悩みを解決する手段のひとつに、「手書きで(すくなくとも下書きは)」「えいやっと一気に」書き上げ、「推敲はしない(しても2~3回にとどめる)」というものがあります。
みなさんも、ESよりも、筆記試験の自由作文のほうが、勢いよく楽しく書き上げることができたという経験をお持ちでしょう。
「練り上げない」という覚悟。
もちろん、ついついびびって書き直したくなる気持ちは分かりますが、一度試してみてください。
寒い日が続きます。体調に気をつけて、がんばっていきましょう!!
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