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紫原明子さんという人。

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https://note.mu/events/n/n9e513e932a68

紫原明子さんと知り合ったのは、たぶん、何年か前に、ライターさんや漫画家さん数名でご飯を食べたときだと思う。

そうだ、6人ぐらいで、神田の味坊で。冬だったのを憶えてる。ダウンを膝と机の間に挟んで。

あのお店はすごく音が響くので、隣の席に負けじと、大声を張り上げて、いろんな話をした。

中でも、紫原さんが幼いときによく遊んでいた女の子との、性の芽生え的な秘め事的なエピソードを話してくれたのをよく憶えている。

紫原さんの人柄、魅力は、彼女が書くものによく出ている。ゆったりと、相手を包み込むように、決して否定せず、決して押しつけず。優しく、ふわふわーっと相手の心に近づく。

柔和な目元でにこにこと笑って、上品な声でくるくると笑う。そして次の瞬間、どこからそんな知識が・・・と驚くような、カルチャー界ゴシップを披露してくれたりする。楽しい。

そんな紫原さんは、最近、お互いをほめ合うコミュニティを作った。題して「がんばったね会」。日々のなんでもないことを、投稿しあって、お互いをほめ合う。たったそれだけのことなのだが、なにかと疲弊しがちな世の中で、そこをオアシスのように求めている人がいるし、実際、「あはは」と笑っちゃうほどのユートピアだ。善意の巣窟。


https://note.mu/events/n/n9e513e932a68

お悩み相談の連載でも、エッセイでも、紫原さんは、丁寧に言葉を選び、相手に語りかける。逃げないし、受け止める。その真摯な姿勢には、日ごろから敬服していた。なかなかできないことだ。

今回、「言い返す技術」という、ちょっとおっかないタイトルの本を刊行し、その記念イベントを行うことになり、ゲストスピーカー、対談相手として誰にお願いしようとなったとき、すぐに思い浮かんだのが、紫原さんだった。

紫原さんなら、日々僕たちが出くわす”困ったちゃん”に対して、どういう風に言い返すだろうか、それとも言い返さないだろうか。いなすだろうか、たしなめるだろうか。純粋に興味があったし、「がんばったね会」を作ってしまうほどの彼女の、人への接し方、言葉のかけ方をこの機に聞いてみたいと思った。

イベントの内容を打ち合わせていると、紫原さんなりの優しい提案が次々と出てきた。「なにかひとつでも、参加者のみなさんに持ち帰ってもらいたい」「みんなきっと、言い返せない体験があるはず。それを話してもらおう」などなど。僕としても「それはいいですね」と異論はなく、一方通行の講演スタイルではなく、ワークショップ形式を取り入れることに決まった。

言い返す、言い返さないもさることながら、どうすれば、目の前の人と平和に楽しく過ごせるか、そのときに、言葉はどのように機能するか。そのあたりを、楽しく、ふわふわと話し合えればと思う。僕自身が、今から楽しみだ。

紫原明子さんという人の、海のように広い心ばえを目撃するだけでも、価値があるイベント。9月20日(金)19時半〜、入場無料で受け付けています。


https://note.mu/events/n/n9e513e932a68