月別アーカイブ: 2008年2月

企業はサークルか。

(この記事は2月12日に書かれたものです)

「大学を卒業して企業の一員になる」というと、全くの異界へ赴くような心細い気持ちになるのは無理もありませんが、人が何人か集まって組織を作り、共通の目的に向かって動くという意味で言えば、企業も、大学の体育会やサークルとなんら変わりません。

もちろん、企業とサークルの厳密な違いなんて挙げればきりがありませんが、「人が人を新しく仲間に迎える」という点で見れば、本質的な差はそれほどないと、僕は信じています。

皆さんは、大学時代、サークルやバイト仲間、学科といった何らかの組織に属していたでしょうか?
属した経験があり、先輩として新入生を迎えた経験があるのであれば話が早いのですが、では、みなさんは、新入生をどのような目でとらえ、どのような人と一緒にやっていきたい、どのような人とはうまくやれそうにない、と思ったでしょうか?

もちろん、各人・各サークルによって価値観は違うと思いますが、大枠としては、「雰囲気・話し方が(どこがとは言えないけれど)いい感じ」で、「この組織でうまくやっていけそうな人」ぐらいのものではないでしょうか?

決して、「その組織のことを細かく知り尽くし、具体的な参加方針をいくつも挙げ、客観的な自己分析も完璧で、それらをもとにいかに自分がこの組織で効果的に機能できるかを蕩々と弁じ立てる新入生」ではないはずです。

その競技・種目・テーマについては未経験でも、自然な自己紹介ができて、組織の一員になりたいという思いを自分の言葉で話し、先輩に対しては元気な笑顔で懸命に受け答えをする、そういう、やる気のあるはきはきとした新入生。
特殊枠が適用されるような一部の例外(甲子園出場などの鳴り物入りのルーキー)でなければ、多くの学生のみなさんが目指すべき姿は、まさにこれです。

「自分が企業の採用担当だったら」という想像よりも、「自分がサークルの(部の、学科の)新入生担当だったら」という想像のほうが、就職・面接というおっかないモノを、より身近に感じることができるはずです。

考えが煮詰まったときに、ぜひ試してみてください。
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その妥協は、「賭け」として妥当か。

(この記事は2月10日に書かれたものです)

希望する人気業界(たとえばテレビ局)に入りたいと思ったときに、人気職種(たとえば制作)を避けて、そうでない(と思われる)職種(たとえば営業・管理)へ妥協し、まずは入社を確保するという手法を選ぶ学生がいます。また、それを勧めるOB、カウンセラーもいるようです。

私はその手法に対して、懐疑的なスタンスをとっています。

理由は挙げればきりがないのですが、
まず第一に、その小細工(というと不穏当ですね。もとい、作戦)が通じる可能性はきわめて低いとにらんでいるからで、
第二に、思いを曲げて選考に落ちると、果てしない後悔が生まれると思っているからです。

最初の理由についてですが、「倍率が少しでも低い方へ」という気持ちは、私自身新卒の時に経験しましたから痛いほど分かります。

そもそも人生における意義の深い選択に、「倍率」という概念を持ち込むのもどうかと思うのですが、それはさておき、ではその妥協により、「倍率」がどれだけ下がるのか、いわばギャンブルとしてどれだけ本当に有利になるのでしょうか。

私には、本来希望している人気職種へぶつけるはずだったオリジナルで熱い思いを犠牲にするに値するほど、実際の倍率が下がっているとはどうも思えないのです。

もちろん、妥協した先の職種を研究しつくし、十分な関心を持ち、最初に抱いていた思いと同じだけの、リアルで生身の志望動機を用意できれば、もちろん検討してもいい作戦ですが、それはなかなかどうして、難しいのではないでしょうか。

さて第二に「後悔」の話ですが、残念ながら武運に恵まれず選考に落ちてしまったとして、思いをそのままにぶつけて落ちた場合と、”賢明な妥協”の結果落ちた場合、どちらがより後悔がつのるでしょうか。
「妥協しておけば、一次面接ぐらいは通れたかもしれない」という後悔と、「同じダメなら、本当に行きたい職種への滾る気持ちを、ぶつけて散ればよかった」という後悔。もちろん、一概にどちらがどうと言えることではありませんが、少なくとも、私が担当する学生の皆さんに味わって欲しくない後悔は、後者の後悔です。

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社会人には社会人の、10年後には10年後の。

(この記事は2月6日に書かれたものです)

今日から、また一人新たにコーチングを始めました。
その方は、就職活動をしている学生ではなく、社会人としてすでに10年近く働いている方です。

(カウンセリングとコーチングを組み合わせたセッションを行い、必要であればコミュニケーションの取り方に落とし込むことで、さまざまな悩みや不安の解決のサポートをする「いおた塾」の手法は、もちろん就職活動以外の悩みにも有効です。実際に、社会人の方も数多くサポートを受けにいらっしゃっています)

その方は、「なんとなく毎日がしゃきっとしなくてしんどい」という、漠然としながらも切迫した悩みをお持ちでした。
傍目から見ると、よだれが出るほどうらやましい順風満帆なキャリアを築いているにも関わらず、です。

就活中の学生の皆さん。
目の前の就職活動を切り抜けさえすれば、悩みのない輝かしい社会人人生が待ち受けているかというと、誠に残念ですが、そういうわけではありません。
社会人5年目には社会人5年目の、30歳には30歳の、複雑で深刻な悩みがあります。

どうやらぼくたちは、その日その日を、そのときの価値観で一生懸命考え、惑いながら生きていくしかないようです。
「おとな」って、大変です・・・。

これからの長い”戸惑い人生”の第一歩・予行演習としての就職活動、一緒にがんばっていきましょう。
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