月別アーカイブ: 2008年2月

困った質問への対処法。

面接において、答えに困る質問をされることがよくあると思います。
たとえば、
「なぜ~~が好きなのか」(好きなものは好きなんだよ!)
「当然知ってると思うけど、~~についてどう思うか」(そんなの聞いたこともない。。。)
「うちでは、君の言う~~なんてできないよ?」(できないの?できるって聞いてたのに!)
などなどです。

ただでさえ緊張しているところへ持ってきて、そういう質問をされるとパニックになりますよね。うまく切り返そう、急いでなにか答えなきゃと思うと、さらに頭は真っ白になります。
そういうときはどうすればいいのでしょうか?

まずは、「きちんと反応に困る」のがいいと、私は思います。

相手は、あなたをとっちめたかったり、考えの甘さを突きたかったりするわけではありません。貴重な面接時間でそんなことをする暇はないのです(相手も仕事ですから)。
あなたのひととなりを知りたいのにとっかかりがなくて、つい変な質問をしてしまっただけかもしれませんし、あるいは、そんな質問をされたときにどんな受け答えをする人なのか、知りたいというちょっと悪質な趣味を持っているだけかもしれません(実際は違うかもしれませんが、ま、ひとつそう解釈しましょう)。
※今は難しいでしょうが、いつかこうやって、面接官の気持ちまで思いやってあげる余裕を持ちたいものです。

ですから、こういう寒い質問には、すぐに答えてあげる必要はありません。

「うわあ、すみません、正直そこまでは考えてなかったなあ。ちょっと待ってくださいね」
「~~ですか。えっと、困ったな、それについては何も知らないんです」
「”なぜ”ですか? うーん、なぜと言われても、急にはちょっとわからないんですよ」

と、困っていることをアピールし、考えがまとまっていないことを伝える。
※こうやってカミングアウトしてしまうと、なぜか心が落ち着きくものです。
で、困りっぱなしというのも馬鹿みたいなので、一呼吸置いたうえで、

「でも、青臭いとは思いますが、死ぬまでにそういう夢が実現できたらなと思ってるんです」
「それは、どういう内容のプロジェクトなんでしょう?教えていただけませんか?」
「もしかしたら直接の理由じゃないかもしれませんが、~~なんてことも関連してるのかもしれません」

などと、当初の主張を繰り返したり、相手からの助言を求めたり、自分の話しやすいことに話題を転換したりする。
これができると、面接はぐっと会話らしくなります。押し黙ったり、慌てて空疎な切り返しをするよりもよっぽど人間的な会話がそこには生まれます。そうすれば相手も、筋のよくない質問をしてしまったと反省してくれることでしょう(実際は違うかもしれませんが、ま、ひとつそう解釈しましょう)。

※ひと呼吸置くためのテクニックとして、「相手の言うことをそのまま繰り返す」というのがありますが、これはちょっと難しいかもしれませんね。

「困った質問に対しては、きちんと困る」
一度、試してみてください。

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練り上げない。

昨日も、担当している学生と渋谷の喫茶店で待ち合わせ、相談を重ねながら、テレビ東京へのエントリーシートを仕上げました。

この方は、何回かのレッスンを通して、だいぶ自分の姿を生身の言葉で語れるようになってきたのですが、いざそれをESに落とし込むとなると、ふたたび、耳障りのいい、だけれどなんにも残らない、企業目線の言葉が多くなってしまいます。

これらの言葉のことを、私は、”オトナ語”と言っています。要は、「リーダシップを余すところなく発揮」だの、「柔軟な判断力」だの、「マーケティングソリューション」だの「クライアントニーズ」だの「ブランド価値向上」だの「企業ビジョン」だの、そういう普段の学生生活では絶対に使ってこなかった言葉たちのことです。
※ちなみに、「オトナ語の謎」とはニュアンスは違いますが、言葉自体の意味がそこからなくなり、笑えるほどに記号化してしまっているという点では、同じとも言えます。

これらの、ビジネス誌や企業HPで飛び交いがちな「彼らの言葉」を使うことを極力避け、自分の経験と生活と体から発せられた「僕らの言葉」で語ることを、私は学生たちに強く推奨しています。
なぜなら、面接の目的は、企業側にすり寄った物言いをすることではなく、自分の姿を自分の言葉で素直に伝えることだと信じているからです。

ですが、私との会話の中でどれだけいきいきとしたエピソードが語られ、どれだけ生々しい熱意が表現されたとしても、それを紙に書きしるし、さらに推敲(これが魔物ですね)を重ねるうちに、最初にあった熱は次第に冷め、気づけば、一般的な耳障りのいい言葉に終始した、「つるっと読めるけれども、後になにも残らない」文章になってしまいがちです。
※それは、仕事を通じて、「言葉」と長年向き合ってきた私でさえそうです。書くって、ほんと難しいですね。

完璧を期すあまり推敲を繰り返し、最後にはまるで他人が書いたような文章になってしまう。そんな悩みを解決する手段のひとつに、「手書きで(すくなくとも下書きは)」「えいやっと一気に」書き上げ、「推敲はしない(しても2~3回にとどめる)」というものがあります。
みなさんも、ESよりも、筆記試験の自由作文のほうが、勢いよく楽しく書き上げることができたという経験をお持ちでしょう。

「練り上げない」という覚悟。
もちろん、ついついびびって書き直したくなる気持ちは分かりますが、一度試してみてください。

寒い日が続きます。体調に気をつけて、がんばっていきましょう!!
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愛の告白に必要なこと。

(この記事は2月14日に書かれたものです)

「面接」とはいったいなんでしょうか?

たった3分で人格を否定されるかもしれない恐ろしい審判の場所。
企業が自分を採りたくなるように論理的に説得するプレゼン機会。
面接官の当たり外れによって左右される運試し会場。

面接はいろいろなものにたとえられますが、面接はデートであるというのも、ひとつ的を射た比喩だと思います。

なんとなく意識し合ってる二人が、約束を決めて待ち合わせ、一定の時間をともにし、その中でそれぞれの基準でお互いを見定め、片方が好意を告げ、もう一方はそれを受け入れるか、断るかの判断をする。
まだつきあう前の二人が繰り広げる、甘酸っぱくも初々しいデートです。

見知らぬ二人が出会い、会話を交わし、今後ずっとつきあっていきたいかを検討するわけですからその過程には、いろんなことが起こることでしょう。
うまく行っているはずのデートがささやかな行き違いから大げんかに発展することもあれば、まるで会話が盛り上がらずがっかり肩を落としていると、「楽しかった」というメールが入って小躍りすることもあります。

重要なのは、それが一方的な「選考」などではなく、公平な立場の二人によって行われる発展的な手続きだということです。皆さんは一応告白をする立場なので、(うれし)恥ずかしい状況に立たされはしますが、同時に、相手の雰囲気や態度を見定める権利と必要があります。

とにかく対応がぞんざい、人の話をきちんと聞こうとしない、連絡が遅い、値踏みをするような表情を隠さない。そんな失礼な態度をとるような人間を大事なデートに寄越すような企業は、こっちから願い下げです。どれだけハイスペックな企業でも、そんな相手とはつきあわないほうがましでしょう。仮にうまくいっても長続きしません(それでも、ついついすがりたくなるのが「惚れた弱み」って奴ですね。辛いところです)。

自己紹介をし、緊張しながらもデートをなるべく楽しみ、シンプルに「好きなのでつきあってください」と告げ(経験上、ひねった告白はよくない結果を生みがちです)、後は相手の判断に委ねる。
言ってしまえば、面接でしなくてはいけないことはこれだけです。

もちろん、「ごめんなさい」と断られれば悲しいですし、泣きたくもなりますが、敗因は(えてして勝因も)、大抵「タイミング」と「相性」ですから、涙を拭いて、次に行きましょう。とくにこの季節、幼稚園児でもやっていることです。負けてはいられません。

いつか両思いになれる日を夢見て、気楽に、飾らず、足下を見られることなく、デートを重ねていきましょう!
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