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恋愛就活 第1回

※普段の生活・価値観から遠いものとしてとらえがちな「就職・就活」を、身近な事象である「恋愛」に見立てて考えよう(本気で)という本を数年前から企画中です。その前書きにあたる部分を、今日から数回に分けて掲載していきます。

「就職は恋愛に似ている」
就職活動を進めていく中で、こんな話を、一度は聞いたり読んだりしたことがあると思います。就活サイトのコラムの中で、あるいはOB訪問のときの先輩のなにげないアドバイスの中で。曰く「結局大切なのは相性だから」「素の自分で勝負するのが大事なんだよねえ」などなど……。
それらの多くは、「就職をおおげさにとらえないで、肩の力を抜いて、ほら、たとえば、恋愛みたいに考えればいいんだよ」、そういうスタンスです。緊張して、萎縮する学生の心を解きほぐす、とても親切な姿勢です。ところがたいてい、それらの話はそこでストップしてしまいます。せっかく「恋愛と似ている」とお互い納得したのに、そこから、やれ自己PRだ、やれ業界分析だ、やれESの書き方だ、やれ志望動機だと、小難しい話にシフトしていくことが多いようです。
どうでしょう?仮に、本当に就職が恋愛に似ていると仮定して、そんな風に難しく恋愛を考えますか?これまでの自分の歴史を表にして整理して、長所と欠点を洗い出して、さらに相手の事をネットや本で詳しくリサーチし、デートの前に言う事も事前に綿密に考えて……。そこまでロジカルに、テクニカルに恋愛をしている人が一体どれだけいるでしょうか。

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困った質問への対処法。

面接において、答えに困る質問をされることがよくあると思います。
たとえば、
「なぜ~~が好きなのか」(好きなものは好きなんだよ!)
「当然知ってると思うけど、~~についてどう思うか」(そんなの聞いたこともない。。。)
「うちでは、君の言う~~なんてできないよ?」(できないの?できるって聞いてたのに!)
などなどです。

ただでさえ緊張しているところへ持ってきて、そういう質問をされるとパニックになりますよね。うまく切り返そう、急いでなにか答えなきゃと思うと、さらに頭は真っ白になります。
そういうときはどうすればいいのでしょうか?

まずは、「きちんと反応に困る」のがいいと、私は思います。

相手は、あなたをとっちめたかったり、考えの甘さを突きたかったりするわけではありません。貴重な面接時間でそんなことをする暇はないのです(相手も仕事ですから)。
あなたのひととなりを知りたいのにとっかかりがなくて、つい変な質問をしてしまっただけかもしれませんし、あるいは、そんな質問をされたときにどんな受け答えをする人なのか、知りたいというちょっと悪質な趣味を持っているだけかもしれません(実際は違うかもしれませんが、ま、ひとつそう解釈しましょう)。
※今は難しいでしょうが、いつかこうやって、面接官の気持ちまで思いやってあげる余裕を持ちたいものです。

ですから、こういう寒い質問には、すぐに答えてあげる必要はありません。

「うわあ、すみません、正直そこまでは考えてなかったなあ。ちょっと待ってくださいね」
「~~ですか。えっと、困ったな、それについては何も知らないんです」
「”なぜ”ですか? うーん、なぜと言われても、急にはちょっとわからないんですよ」

と、困っていることをアピールし、考えがまとまっていないことを伝える。
※こうやってカミングアウトしてしまうと、なぜか心が落ち着きくものです。
で、困りっぱなしというのも馬鹿みたいなので、一呼吸置いたうえで、

「でも、青臭いとは思いますが、死ぬまでにそういう夢が実現できたらなと思ってるんです」
「それは、どういう内容のプロジェクトなんでしょう?教えていただけませんか?」
「もしかしたら直接の理由じゃないかもしれませんが、~~なんてことも関連してるのかもしれません」

などと、当初の主張を繰り返したり、相手からの助言を求めたり、自分の話しやすいことに話題を転換したりする。
これができると、面接はぐっと会話らしくなります。押し黙ったり、慌てて空疎な切り返しをするよりもよっぽど人間的な会話がそこには生まれます。そうすれば相手も、筋のよくない質問をしてしまったと反省してくれることでしょう(実際は違うかもしれませんが、ま、ひとつそう解釈しましょう)。

※ひと呼吸置くためのテクニックとして、「相手の言うことをそのまま繰り返す」というのがありますが、これはちょっと難しいかもしれませんね。

「困った質問に対しては、きちんと困る」
一度、試してみてください。

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練り上げない。

昨日も、担当している学生と渋谷の喫茶店で待ち合わせ、相談を重ねながら、テレビ東京へのエントリーシートを仕上げました。

この方は、何回かのレッスンを通して、だいぶ自分の姿を生身の言葉で語れるようになってきたのですが、いざそれをESに落とし込むとなると、ふたたび、耳障りのいい、だけれどなんにも残らない、企業目線の言葉が多くなってしまいます。

これらの言葉のことを、私は、”オトナ語”と言っています。要は、「リーダシップを余すところなく発揮」だの、「柔軟な判断力」だの、「マーケティングソリューション」だの「クライアントニーズ」だの「ブランド価値向上」だの「企業ビジョン」だの、そういう普段の学生生活では絶対に使ってこなかった言葉たちのことです。
※ちなみに、「オトナ語の謎」とはニュアンスは違いますが、言葉自体の意味がそこからなくなり、笑えるほどに記号化してしまっているという点では、同じとも言えます。

これらの、ビジネス誌や企業HPで飛び交いがちな「彼らの言葉」を使うことを極力避け、自分の経験と生活と体から発せられた「僕らの言葉」で語ることを、私は学生たちに強く推奨しています。
なぜなら、面接の目的は、企業側にすり寄った物言いをすることではなく、自分の姿を自分の言葉で素直に伝えることだと信じているからです。

ですが、私との会話の中でどれだけいきいきとしたエピソードが語られ、どれだけ生々しい熱意が表現されたとしても、それを紙に書きしるし、さらに推敲(これが魔物ですね)を重ねるうちに、最初にあった熱は次第に冷め、気づけば、一般的な耳障りのいい言葉に終始した、「つるっと読めるけれども、後になにも残らない」文章になってしまいがちです。
※それは、仕事を通じて、「言葉」と長年向き合ってきた私でさえそうです。書くって、ほんと難しいですね。

完璧を期すあまり推敲を繰り返し、最後にはまるで他人が書いたような文章になってしまう。そんな悩みを解決する手段のひとつに、「手書きで(すくなくとも下書きは)」「えいやっと一気に」書き上げ、「推敲はしない(しても2~3回にとどめる)」というものがあります。
みなさんも、ESよりも、筆記試験の自由作文のほうが、勢いよく楽しく書き上げることができたという経験をお持ちでしょう。

「練り上げない」という覚悟。
もちろん、ついついびびって書き直したくなる気持ちは分かりますが、一度試してみてください。

寒い日が続きます。体調に気をつけて、がんばっていきましょう!!
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