カテゴリー別アーカイブ: 大学生向けキャリアコラム

就活は受験ではない。

今から思えば大学受験は、努力してがんばればそれなりに結果が伴う、考えられないほどに確かで幸せな世界でした。
志望校選択、科目ごとの点数の取り方、出願の戦略、出題傾向と、受験産業による手厚いフォローもありました。受験生は、親が指し示した方針のもと、受験産業が作り上げたシステムに乗っかって、要領よく、辛抱強く、勉強をこなせば、それでよかったのです。

そして、その成功体験の度合いが大きければ大きいほど、偏差値の高い大学の学生であればあるほど、就職活動においても、再びそのセオリーに乗っかれることを期待します。今回も、周囲の立てた戦略通りに努力してがんばれば、適切な結果がついてくるはずだからです。

私の担当する学生の皆さんには、「就活は受験では?」というかすかな期待を早い段階で諦めてもらいます。受験の意識で就活に臨むと、ろくなことはないからです。

仮にも、企業が大枚をはたいて新戦力を採用する場です。
若者が一生(のものとなるかもしれない)の仕事を選択する場です。
決め手となるのは学力ではありません。
優劣はなく、あるのは、相性と雰囲気と人間性と運と気分です。
大学受験などと同じであるはずがないし、そんなことを言ったら、就職・企業・就職活動そのものにたいして失礼だとすら思います。

みんなが行くから大学に行く、親が希望するからこの大学に行く、その大学への入り方は河合塾や駿台予備校が教えてくれる。もう、そういうのはよしませんか?
そんなシステムに乗っかった面接技法を評価して内定を出すような企業は、危うくてしかたがないと思いませんか?

がんばるのは大事です。不安ですし、努力もしましょう。
ですが、その努力は、自分と仕事と人生との関係をきちんと見つめ直す方向に向けられるべきでしょう。

きょうび、そのためにはまず、巷にあふれすぎている情報や周囲の雑音から自由にならなければなりません。以前よりもひと手間増えているわけです。難儀な時代です。

就活は受験ではありません。ましてや情報戦なわけがありません。
就活産業の使い方には、細心の注意を払いましょう。

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恋愛就活 第3回

この本では、就職そのもの、および就職活動において直面するさまざまな局面を、ひとつひとつ恋愛の局面・シーンにたとえて、その本質を明らかにしていきます。それはある時には、極論かもしれませんし、あるときにはそんなうまくいくもんか?かもしれません。が、本質は外していないはずです。「不謹慎」だとか、「一生を左右する岐路で、そんな浮ついた気持ちで取り組むなんて」という考えでは決して見えてこない、就職・就活の新しい(というより、本来の)姿がそこには現れるはずです。
誤解をさけるために、ひとつ述べておきます。「究極の恋愛テクニック」「こうすれば彼(彼女)ができる!10の方法」といったタイトルの本もしくは、雑誌の特集。よく見かけますね。どうですか?どう思いますか?うさんくさくないですか?「ほんとかよ!そんなんで彼氏(彼女)ができれば苦労しねえよ」じゃないですか?そういう本を、真剣に大まじめに読んでる奴。寒いですよね?いっしょです。これは、「絶対内定」でもなければ、「こうすれば就職できる」という本でもありません。「なるほどね、就職、就職とびびってたけど、こう考えればいいのか、なんだ思ったよりも楽チンじゃん」と、開き直ってもらう事が目的です。たかだかこの本1冊で、すてきな会社人生(つまり恋人ですね)が手に入る、ワケがありません。ええ。
もうひとつ、さらに誤解を避けるために、言っておきましょう。そもそも、利用する考え方は必ずしも「恋愛」である必要はないです。この本は、「就職=恋愛」という考え方を試しに実践してみることで、「就職」という得体のしれない物体を自分の中で消化し、卑近なレベルに引き摺り下ろして、実感してもらう、就活をこれまでの人付き合いの延長で捉えられるようになる、そのことが、最終の目的です。急にそこいらへんでゲットした武器で戦うよりも、これまでの人生で培ってきた人づき合いのコツ、スタイル、作法、主義、そういった小さな武器を使って戦ったほうが、いい戦いができると思うのです。ですので、参考にするといい教科書は「恋愛」の必要はまったくなくて、「友達づきあい」「親・親戚との付き合い」「兄弟」「サークルの先輩・仲間との関係」などでも一向にかまいません。なので、もし、恋愛についてそんなに考えた事がないからといって、「私は、恋愛が苦手だから、就職もできないんだ、あー最悪~」と思う必要はありません。なんでもいいんです。それがあなたの人づき合いのスタイルなのですから。私自身は、上手か下手かはおいといて、大学生活4年間を「テニス」と「片思い」のふたつだけに費やしたし、就職活動においても、それほど難しい事は考えられなかったし、いい年になった現在でも、「テニス」と「恋愛」のことしか考えていません。なので、「就職=恋愛」という観点で話を進めますが、その他のたとえ話もたくさん使っていこうと思います」。安心してください。
では、そろそろはじめます。さらーっと読んでくださって結構です。普通のことしか書いてありません。だって、しょせん就職の話ですから。しょせん恋愛の話ですから。眉間のしわをゆるめつつ読んで下れば、幸いです。

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恋愛就活 第2回

もちろん恋愛観は人それぞれです。が、おそらく、人が人を好きになるのは、雰囲気だったり、話し方だったり、です。勝負を決するのは、タイミングだったり、勢いだったり。そういうものですよね? 好きになるのに理由はなかったり、最悪のデートで「ほんと泣きそう…」と思っていたら、相手はそうでもなかったり。うまく行くものはうまく行くし、うまく行かないものはどうやってもうまく行かない。痛い目にあうけどすぐたちなおったり、ほかに好きな人がすぐできたり、で、また痛い目にあったり。予定通りには行かなくて、無駄も多くて。で、なんとか付き合ったけど、すぐだめになったり。普通、そういうものですよね?(「違う。そうじゃない。私のしてきた恋愛は、すべて計算通りだし、狙った男(女)はすべて、詳細な分析と明快な目的意識と、何度も繰り返した綿密なデートテクで落としてきた」というあなた。素晴らしいです。うらやましい。でも、そんなあなたにはこの本は必要ないかもしれません、残念ですが。これまで思い通り運んできた人生の集大成として、意中の内定を山ほどゲットしてください。いいなぁ。)もし、就職が恋愛と似ているなら、どうして、「それはそれとして」と横へ置いておいて、小難しい話やテクニックにシフトするのか。そこに、すごく違和感を感じます。
この本は、就活を考える時の単なる前振り・気休めとしてではなく、「就職」あるいは「就職活動」を「恋愛」との類似という観点から、真正面から語ってみようという本です。
「就職と恋愛が似ている」という考え方。賛否あるかと思いますが、私は強く賛同します。心から、「そうだ!そうだ!」と思います。就職と恋愛。「人(企業)が人(あなた)を選び、人(あなた)が人(企業)を選ぶ」「人(彼女・彼)が人(オレ・わたし)を選び、人(オレ・わたし)が人(彼女・彼)を選ぶ」という点で、本質的には、まったく同じことだと強く信じています。
もちろん、実際には細かな違いもあるでしょう。社会人としての常識、会社の方針、企業理念……。でも、これからしんどい(正直、毎日スーツを着て、混雑した電車にもまれ、難しいことを考えるのは、デートよりも気が重いものです)就活を行っていく上で、まったく未知の事柄として「就職ってなんだ?職業ってなんだ?」と考えるのは、どうにもしんどすぎます。それよりも、これまでの自分の恋愛のやリ方・考え方を利用して、その延長で考え始めるほうが、どうにもこうにも楽チンですし、考えやすいですし、納得しやすそうです。そういう実用性からも、「就職=恋愛」理論は、有効だと思うのです。よくわかんない就職、こんがらがってきた就活。まずは、ずっとこれまで関わってきた「恋愛」、これを武器に戦う。悪くない戦法だと思います。

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