カテゴリー別アーカイブ: 「なるほど人づきあい術」

「おいしい」の3段活用

 芸人のサバンナ・高橋といえば「たいこ持ち芸人」、つまり「先輩に気に入られるよう振る舞うことの天才」として有名です。彼が最近、披露していた「先輩にご飯をごちそうになっているときのコツ」というのが、
 
 ・料理が運ばれてきたら「おいしそう!」と言う
 ・食べてる最中に「おいしい!」と言う
 ・食べ終わってから「おいしかった!」と言う
 
 というもの。名づけて「おいしいの3段活用」。
 
 食事中だけでなく、あらゆる機会を無駄にせず「楽しんでいる」「感謝している」旨を先輩にアピールするコミュニケーション術。おごっているほうとしても「ごちそうさまです」よりも、自然に楽しい気持ちになることでしょう。さすが、たいこ持ち芸人。おそるべしです。
 
 ちなみに食事におけるこの3タイミング(食事前、食事中、食事後)は、スポーツメンタルトレーニングの世界でも注目されていて、漫然と食事するのではなくこうやって言葉を発しながら食事に集中することで「チロトロピン」「コルチコトロピン」「ドーパミン」というホルモンが活躍し、脳が活性化するという説もあります。
 
 また心理学でも「ランチョンテクニック」という言葉があり、食事を一緒にしながらだと人と人は仲よくなりやすいと言われています。
 
 食事をおいしく食べることは、人生の大きな喜び。気心の知れた相手と楽しく食べれば、おいしさ・親密さは何倍にもなるでしょう。
 
 「おいしい」というのは、嫌な気持ちになる人のいない魔法の言葉(そういう意味では「ありがとう」に近いですね)。話題に困ったり沈黙が流れてしまったりしたときには、「おいしいの3段活用」を思い出して、いろいろなバリエーションで繰り出すように心がけてみてください!

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「でも」「けれど」「逆に」を使わない

 メールの文章や日々の会話において、これさえ使わなければ人間関係のギスギスが大幅に減ることばがあります。それが「逆接語」。
 
 「でも」「けれど」「逆に」「っていうか」・・・ 自分が話し出すときに、なんの気なしにこうしたフレーズから文章・会話を始める人は少なくありません。これが要注意。
 
 人には「承認欲求」というものがあり、自分の話や意見を認めてもらいたくてしかたありません。「そうだね」「確かに」などと受け止められると、それだけでうれしいのです。いっぽう「でも」「けれど」など逆接語から話し出されると、まるで意見を否定されているような気持ちに。目に見えないきしみが生まれるのです。
 
 本当に反対の内容を言う場面(議論やディベートなど)ならいざ知らず、安易に「っていうかさあ」などと話を始めないように心がけたいものです。本人にその気はなくても、文句をつけているようで印象がよくありません。
 
 代わって最近増えているのは「それで言うと、」と、相手の話を引き取る言い回し。よく聞くと関連しているようで関連してないことも多いのですが、それはご愛敬。話し出し方としてはとてもポジティブです。
 
 さらにいえば「請求書の件ですが、あれどうなってますか?」「いま進んでるプロジェクトなんですけど、ちょっとトラブルがあって」など、会話や文のリズムを取る息継ぎのように使ってしまう「が」「けれど」。これもできれば避けたいところ。
 
 聞いたほう・見たほうとしては「ん?」と気持ちがひっかかります(もちろん、相手の注意を喚起するためにあえて使うというテクニックもありますが、一般の人間関係においては不要でしょう)。
 
 「請求書の件、どうなってますか?」「いま進んでるプロジェクトに、ちょっとトラブルがあって」など、言い換えは可能。むしろシンプルで知的なトーンになります。
 
 「魂は細部に宿る」と言います。メール一通、会話ひとつおろそかにせず、お互いが気持ちのいい人づきあいを目指したいものですね。

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「悪口」はOKでも「かげ口」はNG

 先日、タレントの有吉弘行がテレビでこんなことを言っていました。
 
 「悪口はいいけど、陰口はよくない」
 
 曰く、目の前の人はどれだけけなしてもOK(冗談めかすこともできるし、それがきっかけで誤解がとけて仲よくなることもある)けれど、その人のいないところで悪口を言ってはいけない(どこでどんな尾ひれがついて本人の耳に入るか分からない)ということ。
 
 これは心理学的にもとても理にかなっている教訓で、いたく感心しました。心理学では「ウィンザー効果」というものがあって、これは「第三者から聞くとその情報の影響力が増す」というものです。
 
 たとえば人から「●●さんがあなたのことを『素晴らしい人材だ』って言ってましたよ」と聞くのは、●●さん本人から言われるよりもうれしいもの。なんといっても真実味が増しますし、照れずに受け入れることもできます。そのため、大会社の役員や経営者など、人望のある人はあえて間接的に人をほめたりするのだとか。
 
 「雑誌やクチコミで、おいしいと聞いた店は行ってみたくなる」「広告で大々的にアピールしている商品よりも、報道で高評価を得ているほうが信頼できる」これらの現象も同様に「ウィンザー効果」で説明できます。
 
 冒頭の有吉弘行のコメントは、まさにこの逆バージョン。軽い気持ちで言ったネガティブなことも、第三者を通じて本人に伝わると「ウィンザー効果」で何倍かに増幅されてしまい、取り返しがつかないことになりかねません。
 
 ツイッターなどのSNSは、下手をするとかっこうの陰口ツールになります。ネガティブなことや個人を中傷するようなことを書かないのは基本マナーです(どれだけ厳しくガードされていても、です)。
 
 どうしても誰かに陰口を言って溜飲を下げたくなったら、本当に信頼できる人、あるいは、まったく縁もゆかりもない人(たとえば仕事の話なら仕事関係ではない人)に言うようにしましょう。

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